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日本酒とローカルな食文化を海外へ。
地方創生に酔鯨の心意気!

新春特別座談会2022「酒造りから目指す地方活性」の模様をお届けします。

酔鯨酒造 土佐蔵に衆議院議員尾﨑正直様をお招きし、新春特別座談会を開催。高知県の魅力や酒造りから目指す地方活性について熱く語らい合いました。

左から酔鯨酒造㈱代表取締役会長 竹内孝久・衆議院議員(元高知県知事)尾﨑正直・酔鯨酒造㈱代表取締役社長 大倉広邦

酒造りから目指す地方活性

大倉  尾﨑議員、本日は土佐蔵へようこそお越しくださいました。
 
尾﨑
 お招きありがとうございます。すばらしい設備とおもてなしに感謝します。
 
大倉
 本日は「酒造りから目指す地方活性」についてお話させてください。
では、早速ですが…このコロナ禍の状況の中でも日本酒全体の輸出は大幅に増えています。
おかげさまで酔鯨もこの8 年で輸出が6 倍になりました。販売先の約9 割は海外を含めた高知県外で、微力ながら外貨を稼いで高知の地域経済に貢献できればと願っています。
尾﨑議員、私たち酒蔵がどんな取り組みをすれば地域活性化に拍車がかかって高知県が元気になると思われますか?

尾﨑 酔鯨さんが地産外商への貢献をしてこられたことは県知事時代も実感しておりました。さらに事業の発展で輸出を伸ばしていくことと期待しています。
和食が認知され、外国でも生の魚を食べることが増えてきました。高知と交流の深いシンガポールでも、高知の鰹など生食の魚文化が理解されています。生の魚を食べるとおのずと合うお酒が欲しくなりますね。相乗効果で輸出がアップします。
もうひとつ予想されるのは、全国のいろいろな日本酒ブランドが輸出を展開すれば、外国人が産地の情報を気にするようになること。ワインの産地を訪ねるように、高知の産地を訪ねてくる時代になる。ぜひ観光客を呼び込む力を発揮してください。

大倉
 今後も輸出を拡大していきたいと考えています。高知県があったからこそ酔鯨は生まれました。
高知の食文化、高知になくてはならない存在として世界へ売り込みたい。世界中でワインが親しまれるように、日本酒が、ブルゴーニュワインのように愉しまれることが私の究極の夢です。
例えば、ニューヨークで日本酒を飲んだ人が、おいしいと思って裏のラベルを見ると高知県で造られたお酒だった。それなら高知県へ観光で行ってみたい!となるじゃないですか…!
そして高知で鰹を食べて、酔鯨を飲む。これを目指しています。また、海外でレストランとコラボして日本酒と食文化の体感イベントを開催していますが、こんなうまい肴と酒、おきゃくの楽しさを知ったら、行きたくなりますよね。

酒米から地域と一緒に作る時代へ。日本食文化輸出の鍵は日本酒

竹内 尾﨑議員は県知事の時から県の産業振興計画で酒米を増やしてこられました。
令和3 年8 月の土佐酒輸出拡大プロジェクトもあり、輸出が伸びています。しかし、コロナ禍で全国の酒米は生産を減らしているのが現状です。ここを乗り越えて海外へ売ることが急務です。
酔鯨のお酒に使用する酒米のうち、約3 割が高知県産米を使っています。この「高育54 号」は酒米も高知産の酒造好適米です。プレミアム化した酒造りと、リーズナブルな酒米の二極化でオール高知の酔鯨を造り、裾野も拡げたい。
県内の酒蔵が県産の酒米を使えば、県内の農業が潤うでしょう。最近、酔鯨は土佐蔵の近隣で田んぼを借りて酒米を作るようになりました。「吟の夢」という高知の酒造好適米を作付けしています。一次産業を産地の方と一緒に元気づけていきたいです。

大倉 自分たちで酒米を作り、突出した酒米を生産すること。お米で勝負するのは、自然なものに人間は感動するからです。

尾﨑 この話、県知事時代に聞きたかった!農林水産品の輸出は大きな問題です。
米余りで高知は高収益の園芸へと転換してきましたが、お米の世界戦略と合わせたトレーサビリティ、地元米を追求する意義は大きいですし、酒蔵ごとのタイプで出せればさらに良いと。

酒造好適米「吟の夢」の田んぼ

大倉 酔鯨は企業として、CSV=共通の社会的価値を創造し、経済に貢献することを目指しています。
河川の保護と活性化にも取り組んでおり、県内最東部の東洋町を流れる野根川とコラボして、香魚という夏季限定のお酒を造りました。野根川の水で特産の鮎に合う酒を醸し、売上の一部を野根川の鮎の遡上保護に役立てます。そして、仁淀川ともコラボしていますよ。土佐和紙のラベル、お米も仁淀川流域産で、オール仁淀川の酒を。米、川、鮎、土佐和紙!

尾﨑 野根川の鮎に合う酒、さすがです。プレミアム感が大きい。仁淀川の…展開も面白い。
一次産業活性化のためには、また、コロナのような危機に強くあるためにも県全体で多様な用途に応じた販路開拓をすることが重要です。
国や県が戦略的に後押しする仕組みも。切り拓くべき輸出というミッションは高知にとって大きい。高知のお酒を中心にした多様な食文化一式を輸出できれば、大きな効果があると思います。美味しい魚を食べるための柚子、ブシュカン、直七…薬味として大葉、生姜、ミョウガ。高知の農産物が海外へ出ていける。一連の食体系一式を総合的に輸出する。その鍵が日本酒だと私は思います。機は熟しつつあります。これからの地産外商では、日本酒に対する期待は大きいです。

野根川とのコラボ「香魚」

高知らしいお酒の食文化が魅力

竹内 今は地理的表示保護制度(GI 認証)があり、県単位でブランディングを格上げしています。県でまちまちなのが残念。世界に通用するには、フランス・イタリアのワインに匹敵する統一された格付けが必要です。一次産業の農業と、二次産業の造りの工程からも大事ですね。

尾﨑 輸出時のトレーサビリティで原料の米はどこ産なのかが大きいですね。
日本酒がフランス・イタリアワインと比べてどこが足りないかを明らかにして政策的に後押しすることは大事。外国向けの販路開拓は国の力でしっかり後押しします。
東京や大阪へ出すのと外国では難しさに格段の差がありますし。そして、食文化一式を売り込むことが大切です。
コロナの前に土佐の経済同友会が全国の同友会を呼んで、月の名所桂浜で「大おきゃく」をしました。浜辺で皿鉢と酒の大宴会、皆さん文化に感動してくれましたし、後々の新プロジェクトにもつながりました。
文化の持つ魅力、特に土佐の文化はキャラが立っているので、効果は多岐にわたります。これを海外向けに展開を。最終的に中山間地域に酒米の効果が出たり、観光も鮎釣りも楽しんでいただけたら最高ですね。お酒があるからこそ、そういう夢も描けます。

大倉 そういう意味では、ニューヨークにも高知のアンテナショップがあるといいなと思っています。
そこで「おきゃく」も体験してもらい、継続していければ、食文化全体の輸出に貢献できるでしょう。「あそこに行けば高知を体感できますよ」とお客さまに言えるのが、僕らも強みになります。

※土佐のお客文化
「おきゃく」とは土佐弁で宴会、酒宴の事を言います。皿鉢にご馳走をのせて、朝から晩まで飲み尽くす、老若男女みんなが楽しむのが「おきゃく」です。

土佐のおきゃくイベント

皿鉢料理

尾﨑 なるほど。香港かシンガポールでのアンテナショップを一時期考えていました。今後はニューヨークという展開もあるかもしれませんね。
かつて税務署長だった時のエピソードがあります。お酒を担当するので管内の酒蔵を回ったのですが、ある人がワインを徹底的にライバル視して、日本酒を世界へ広めたいと話していました。料理に合わせて産地ごとの特徴があるのはワインと同じなのにと。それが忘れられません。
知事になって間もなくの頃、東京にある高知の店で、ワイングラスで飲んでみてと言われて、あっという間に一升飲みました。お酒は間違いなくワインに負けません。世界に展開できると改めて思った体験でした。ぜひ、やり遂げていただきたい。大げさでなく地方創生の中核だと思っています。
フランスとイタリアは日本に貿易黒字ですが、それは料理を拡げて、ワインを輸出したから。経済的効果はもちろん、リスペクトされて平和にもつながるのでは。
淡麗辛口のお酒で新子を食べる、この世の幸せの極みですよね。土佐の淡麗辛口の酒が、人間関係のひろがりという意味でも、どれだけ知事の仕事を助けてくれたことか、改めてお礼を言いたいです。お酒を中心にした土佐のおきゃく文化の素晴らしさ。お酒中心に、ぜひ世界に広めて、高知のファンを増やしましょう。期待していますよ、酔鯨さん。

大倉 はい、全力で頑張ってまいります!


尾﨑正直
【私の高知おすすめポイント】おきゃくが一番。飲んだら皆友達。


竹内孝久

【私の高知おすすめポイント】食文化。落ち着けるスポットは日曜市。


大倉広邦
【私の高知おすすめポイント】清流キャンプ。高知は川で泳げます。